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俯く彼の目は、あたしからは見えない。
「気付くと僕は病院のベッドの上にいた。看護婦さんが言っていた。『意識不明の重体だったのに、運が良かったね』って」
「その時は……九条君は」
「……いた。喧嘩をしたんだよ。今の君と同じ様に『そんなのただの偶然だ! お前が自分を責める必要なんて無い!』ってね。あいつは僕に何かした訳じゃない。むしろ僕があいつの手をつかんで強引に……!」
髪の毛を掻き毟り、田村君はうめく。
「僕に出来た事は……あいつに出来る限り近づかないこと、そして、誰かが近寄らないようにすること……それだけ」
今でも、よく覚えている。
ごめん、僕が……悪いんだ、僕が悪いんだ、って。あいつが泣きじゃくりながら、僕の病室から出て行ったのを。
僕は……幸一を、追えなかったよ……!
……………………
両手で頭を抱える田村君の姿は、とても小さく見えた。