ロビル
胸元を親指で指しつつ、ひどく虚無的で歪な笑みを幸一は浮かべていた。
今までの人生で、こいつは十人以上の人間を殺している。そういう罪の意識がありながら生きてきたのは、オレという爆弾の存在だ。オレが解き放たれれば、手当たり次第人が殺されるのは目に見えているからな……なあ、幸一?
いや、オレとしては幸一を殺してくれるのは構わんぞ?
「貴方は私の恩人なのよ? その相手を殺せると思う? それに……悔しいけど私じゃ、そいつは持て余しそうな相手だし」
よくわかっているじゃないか。
こいつは、幸一にすらおくれを取ったのだ。天使の本領が発揮出来るのは陽がのぼっている間だが……真昼間でない限りは、オレが手負いで解放されたとしても充分対処できる。万一刃向かってきても、返り討ちにしてくれるわ。
「でも、放ってはおけないから……そうね、貴方がその悪魔を追い出す日まで、一緒にいさせてもらうわ。どこに住めばいいかって、丁度悩んでいたところだし」
「(なに?)」
オレと幸一は、ものの見事に全く同じ言葉を喋っていた。