ジャビルウィスパー38
ゴリッ! と彼は歯列がずれるほど強く噛んだ。
「『最近の若い者は、家出をよくしますからねぇ』と、警察も、学校も全然話を聞いてくれなかった!」
……まあ、西高はそうでもねえけど、あの辺りは不良とか結構出るし、お世辞にも素行がいいとは言えねえからなぁ……俺の出身の北高なんかは不良の巣窟だし……
「ですが、今日、こんな記事がたて続けに出ました」
そう言って父親が懐から取り出したのは、新聞の切り抜き。
『戸崎北高校の新見友治さん(十六歳)が殺害された事件で、警察は……』
『戸崎東高校の北島可奈さん(十七歳)が殺害された事件で、警察は……』
『戸崎第一中学校の伊藤武則君(十四歳)が殺害された事件で、警察は……』
それらはここ最近頻発している殺人事件の被害者らしい。新聞を取る余裕がなく、テレビも無いというのは、やはりマズイ……主に若い中高校生が被害者のようだ。その頃に娘さんが失踪したとなると、父親としては気が気であるまい。
「……こういった事件が起こってもなんです、警察はろくに取り合ってくれない!」
……な、に? それはいくらなんでも……!
彼は両手で顔を覆い、苦しみを吐き出すように続けた。
「もう、警察も学校もあてにならない。そう思った私はいくつか探偵事務所を回って、娘の捜索を依頼したんです」
……考えてみれば、俺は駆け出しの新米。普通、そんな重要な依頼はこないだろう。そんな俺の所にきた理由は……