デビル
ベッドに寝かせた女が、毛布を跳ね除けガバリと起き上がる。キョロキョロとせわしなく視線を動かしている。
「気付いたか?」
声に、女はすぐ脇でずっと女を看取っていた幸一の存在にやっと気付いたようだ。キョトンとした目付きで問う。
「ここは?」
「俺の家だ」
女はこの状況が理解出来ないのか、腕を組み、天井を見上げ志向するが……考えがまとまらなかったのだろう、再度問う。
「あの……どうして私が貴方の家にいるの?」
「お前が倒れたのを、俺が運んだからだ」
その必要最小限の答えが、納得出来なかったらしい。首を横に強く振り、額に手を当て、何かを思い出そうとしている。
「……間違ってたら、ごめんなさい。貴方、その……私に襲われなかった? そうよね、襲った人を助けるだなんてそんなこと」
「ああ。襲われた」
自分一人で納得しようとしていた女の心情を考慮に入れず、幸一は端的に事実だけを紡ぐ。
「俺は、お前に、間違い無く狙われた。殺しかけたのは俺だが」
一言一言い切って根気強く話すが、それだけでは圧倒的に説明が足りんな。
女は、顔をしかめて問う。
「貴方、私に狙われたのよね?」
「ああ」
「それで、貴方は私にとどめをささずに助けたのよね?」
「ああ」
「……さらに、自分の家に連れてきて看病していたの?」
「ああ」
「どうして?」
「死なせたくないからだ。それ以外理由らしい理由は無い」