デギル
幸一が静かに頷くと、
「うそぉ! 悪魔を使役する方法を編み出したと言うの?! そんなの『洗礼者』でも出来ないわよ!」
……待て! 今、何と言った!
……もし、オレの予想通りなら……
(女。オレの声が聞こえるか?)
思念をより強力にし、女に放つと、奴はビクリと反応した後に険しい顔付きを幸一に……あるいはオレに向けた。
「……使役じゃないのね。契約した訳? それとも彼の身体を乗っ取っているの?」
女はこちらを伺うように眼を細めた。
「……どうかな。俺自身は、契約なのか、封印なのか、人身御供なのかわからん」
幸一のこの返答に、女はさらに眉をひそめた。
「おかしいわね……自分の意思はきっちりあるから乗っ取られた訳では無い……でも、使役じゃない……てっきり、善良な魔術師かと思ったけど……悪魔と契約しそうな魔術師でもなさそうね?」
女が本格的に考え始めると、
「俺の正体を知りたいのはわかるが、あんたの正体も教えてくれないか。少なくとも、俺は、あんたに殺されそうになっているんだ。殺しかけたのは俺だが」
幸一は淡々と、事実を指摘し、事態の進展を図る。どうやら、動揺は収まったようだな。
すると女の表情は明らかに翳りを帯び、頭を下げた。